島岡達三・刷毛目草花紋ピッチャー 解説 A-15

島岡達三・刷毛目(はけめ)草花(そうか)(もん)ピッチャー 解説

     刷毛目(はけめ)草花(そうか)(もん)ピッチャー

◆島岡達三(1919-2007)

東京工大窯業学科卒業後、浜田庄司に師事し昭和28年栃木県益子に窯をひらき独立しました。組紐師(くみひもし)だった父親の組紐を器面(うつわめん)にころがし、押しあとに化粧土をうめるという独自の縄文象嵌技法を確立し、平成8年人間国宝となりました。島岡達三の縄文は紐を単に押しつけるのではなく、くるくると回しつけることによってできる微妙な線のズレが作品に趣を与えています。

※1.組紐の材料は絹です。この材料の特性により、押し跡が柔らかく仕上がります。

刷毛目(はけめ)」 とは・・・

島岡達三が縄文象嵌を用いない技法で多用されるのが刷毛目の技法です。白泥(はくでい)刷毛(はけ)や太筆にたっぷりと浸み込ませて、その刷毛目を見せるために素早い筆致(ひっち)(筆遣い)で作品に白泥をすべらせる技法です。渦紋のように刷毛目だけでも充分に力強い独立した文様となりますが、その刷毛目にもう一手二手が加えられて、さらに興味深い刷毛目文様が生み出されます。本品は、刷毛目の白地に鉄絵等が加えられた絵刷毛目となっています。この刷毛目模様は島岡が最も初期から多用し、縄文象嵌とともに好んで製作されています。それは作者の中で刷毛目模様が縄文象嵌と近似した性格として考えられているに他なりません。つまり、刷毛目は基本的に絵付けではなく、絵付けのための素地作りなのです。この点が縄文象嵌と共通したものであり、島岡陶芸が本質的に 「陶胎(とうたい)全体の在り ようをみせる」ことに徹しているからであると考察されます。

コメント

このブログの人気の投稿