島岡達三・灰被縄文象嵌湯呑/窯変縄文象嵌湯呑 解説 A-13
島岡達三・灰被縄文象嵌湯呑/窯変縄文象嵌湯呑 解説

(左)灰被縄文象嵌湯呑(口部φ85×H94) (右)窯変縄文象嵌湯呑(口部φ85×H94)
◆島岡達三(1919-2007)
昭和後期から平成時代に活躍した陶芸家です。大正8年(1919)東京に生まれました。父は組紐師の島岡米吉です。のちの縄模様につながる重要な生い立ちといえます。高等学校在学中に日本民藝館を訪れ、民芸の美に目ざめます。東京工大窯業学科卒業後、濱田庄司に師事し昭和28年栃木県益子に窯をひらき独立しました。父が組紐師だったことから組紐をころがした器面の押し跡に化粧土をうめるという独自の縄文象眼技法を確立し、平成8年人間国宝となりました。島岡達三の縄文は紐を単に押しつけるのではなく、くるくると回
しつけることによってできるものであり、微妙な線のズレが作品に趣を与えています。
これにより、島岡達三独特の世界観をもつ作品を生み出しています。
◆ こうした縄文象嵌技法に加え、登り窯のどこに置くかによって焼成温度や雰囲気環境(酸素の多少等)によって焼き上がりは大きく変わってきます。本作品は、陶器焼成の中でも偶然性の要素が強い「灰被」※1と「窯変」※2の焼成技法によって焼かれたものです。
※1.登り窯でも一等席といえる「灰被」。焚いた薪の燃えるすぐ傍で作品にたっぷりと灰が被さりコゲやビーロドなど多彩な景色に焼き上がりますが、全体の数%の割合のスペースで場所が少ない上に、次々と薪が放り込まれる付近のため、薪が当たったり火当たりによる破損も多い場所です。そんな理由から灰被りに詰める物はどちらかというと評価の高い物になります。
※2.焼成中に釉薬や土の性質が変化し、意図しない独特の色合いや質感が生まれる現象をいいます。登り窯の焚き口にある部屋で焚かれ、その温度は1300℃にもなり、器の変形も見られます。

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