島岡達三・伊羅保釉縄文象嵌皿 解説 A-09

島岡達三・伊羅保釉(いらぼゆう)縄文(じょうもん)象嵌(ぞうがん)(さら) 解説


     伊羅保釉(いらぼゆう)縄文(じょうもん)象嵌(ぞうがん)(さら)(大皿サイズφ55㎝ / 島岡達三

◆島岡達三(1919-2007)

昭和後期から平成時代に活躍した陶芸家です。大正8年(1919)東京に生まれました。父は組紐師の島岡米吉です。のちの縄模様につながる重要な生い立ちといえます。高等学校在学中に日本民藝館を訪れ、民芸の美に目ざめます。東京工大窯業学科卒業後、濱田庄司に師事し昭和28年栃木県益子に窯をひらき独立しました。父が組紐師だったことから組みひもをころがした器面の押しあとに化粧土をうめるという独自の縄文象眼技法を確立し、平成8年人間国宝となりました。島岡達三の縄文は紐を単に押しつけるのではなく、くるくると回しつけることによってできるものであり、微妙な線のズレが作品に趣を与えています。こうした縄文象嵌に加え、白い窓絵を設けて中に赤絵で描画したり、象嵌に青・黒色の土を用いるなど別の技法との組合せを試みています。こうした独自の技法のほか、師匠である濱田庄司の影響も受け、ロウソクで白抜きした窓絵、釉(ゆう)の流しかけ、柿釉をはじめとする鉄釉、赤絵の筆致など濱田氏の作風を範としながらも、島岡達三独特の世界観をもつ作品を生み出しています。

伊羅(いら)保釉(ぼゆう)」 とは・・・ 伊羅保釉は土灰釉(どばいゆう)※1の一種で、古くから高麗茶碗に用いられていました。 伊羅保とは高麗茶碗の種類名称のことです。侘(わ)びた佇(たたず)まいと素朴な釉調(ゆうちょう)が見てとれます。手触りはざらざらしていて、このざらざら感がいらいらに転じて伊羅保と呼ぶともいわれています。発色は土の成分にもよりますが、酸化焼成で黄褐色になり還元焼成では暗褐色に焼きあがります。本品はビードロが底に流れてゆくさまがくっきりと見られて、伊羅保の魅力と調和した趣になっています。 ※1.土灰釉とは、木の枝や落ち葉などの雑木を燃やした灰からつくられています。 発色させる ための金属などが含まれていないので、淡い色合いに仕上がります。

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